慢性的に鼻水が多い猫は多く、季節の変わり目には悪化してクシャミが増える!というケースも多いです。
子猫のころにウイルス感染すると、どうしても猫風邪の症状が抜けきらずに、慢性鼻炎になってしまいます。
慢性鼻炎は鼻が詰まってしまうために、猫の食欲低下を招くところが厄介です。
猫の健康のために、本当にウイルス感染による鼻炎なのか、アレルギー性は無いのか、検査法にはどんなものがあるのかを知っておきましょう。
高齢の猫であれば、慢性鼻炎だけではなく歯周病や鼻腔内の腫瘍の可能性も考える必要があるので要注意です。
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猫の慢性鼻炎とは
慢性的に、数ヶ月にわたって鼻炎症状がある状態をさします。
または、お薬で一時的には良化しても、ケアを止めるとすぐに再発してしまうのも特徴です。
つまり、根治や完治が難しい状態の鼻炎ということです。
そのため「この猫は鼻水がいつも出ている猫なんだ」と諦めている飼い主様も多くいます。
たしかに完治や根治は難しいのですが、うまく付き合っていくことで、食欲低下などの二次的な問題を軽減することができるでしょう。
猫の慢性鼻炎の症状
猫の鼻炎の症状に多いのは、くしゃみや鼻水、鼻血、食欲不振など。
鼻炎だけでなく、悪化する時には目ヤニが増える猫もいます。
目と鼻は鼻涙管という管でつながっているので、相互に影響を与えることが多いのです。
鼻炎が続いていると、くしゃみとともに膿性鼻汁がドロっと出てきたり、あるいは鼻血がプシャっとでることもあるので、飼い主様はビックリされます。
炎症が続いていると鼻粘膜が障害をうけて、出血してしまうことがあるのです。
基本的には、鼻血もすぐに止まれば大きな問題はないでしょう。
止まらない鼻血は、鼻炎だけの問題ではない可能性があるので、必ず受診してください。
体調の変化によって悪化したり、あるいは季節の変わり目だけは症状が出るという猫も多くいます。
猫は食べ物の匂いで食欲を刺激されるので、鼻がつまってしまうとどうしても食欲が低下してしまうのが難点なのです。
猫の慢性鼻炎の原因
猫の慢性鼻炎の原因は、基本的には感染症です。
つまり外部から細菌やウイルスが鼻粘膜に侵入して、悪さをしている状況です。
ただ、時にはアレルギー性のものや、歯周病の波及、高齢であれば腫瘍性の原因も紛れてきます。
ウイルス感染性鼻炎
子猫の時に親や周囲の猫から移されることが多いのが「ネコヘルペスウイルス」「ネコカリシウイルス」の二つです。
とくにネコヘルペスウイルスは「猫伝染性鼻気管炎ウイルス」とも呼ばれ、猫の鼻炎の原因となっていることが多いでしょう。
免疫力がしっかりとしていれば発症しないこともあるのですが、子猫のうちは免疫力も弱く、ワクチネーションプログラムも完了していない状態で感染してしまうので、重症化してしまうことも。。。
子猫では鼻炎だけにとどまらず気管支炎や肺炎になってしまうこともあるので、たかが鼻水、たかがクシャミと侮ってはいけません。
ネコのコアワクチンは三種ワクチンです。
その三種とはネコヘルペスウイルスとネコカリシウイルス、ネコパルボウイルスのことを指しています。
つまり、しっかりと混合ワクチンを接種していれば、ヘルペスウイルスやカリシウイルス感染症の重症化や発症を軽減できるわけです。
毎年ネコのワクチンを打っているけど、それが何だか知らなかった!という人も多いようですが、それではダメ!
まず、ネコの三種混合ワクチンには「不活化ワクチン」と「生ワクチン」の二種類があります。
そのうち、細胞内に入ってしまったヘルペスウイルスに効果があるのは生ワクチンだけ。
愛猫に接種しているワクチンが不活化なのか、生なのかを把握しておきましょう。
ネコのワクチン接種はアメリカのネコ医学会で三年に一度が推奨されています。
その他にもワクチン抗体検査という手段もあります。
ネコのワクチンは奥が深いので、ぜひ勉強しておきましょう。
細菌感染性鼻炎
猫の鼻炎の原因には細菌感染が関与していることも多くあります。
子猫の時に多いのは「マイコプラズマ フェリス」「ボルデテラ ブロンキセプティカ」ですが、成猫になってからの鼻炎では、多剤耐性の緑膿菌・大腸菌・球菌なども多くみられるのでやっかいです。
厳密にいえば、マイコプラズマは細菌とは言いがたい特殊な生物なのですが、抗菌薬(あるいは抗生物質)で治療できるので細菌感染に入れました。
細菌感染による鼻炎の特徴は、ドロッとした鼻水です。人でいう青っ洟(あおっぱな)が多く出ます。
多剤耐性菌とは、たくさんの抗菌薬が効かない細菌のことです。
色々な抗菌薬をやみくもに使うことで、体内の細菌が多剤耐性菌に変化してしまうので、とても危険!
鼻水が出ている⇒抗菌薬で治療だ!ということを繰り返していると、どんな抗菌薬も効かない細菌が出来てしまうでしょう。
大切なことは、処方された抗菌薬はしっかりと飲ませきることです。
ちょっと良くなったからと言って、すぐに抗菌薬をやめてしまうと、生き残った細菌が多剤耐性菌になっていくのです。
カビ感染症鼻炎
猫の鼻炎の原因としてカビ(真菌)が出てくることは殆どありません。
そのため、だいたいの獣医師は最初から真菌を疑うことはしません。
いくつかの治療を経ても良化しない時に、改めて「念のために真菌も検査しようか」という流れです。
多くは無いもの、もし真菌感染症であった場合には、治療法が大きく異なるので愛猫のために知っておきましょう。
猫の鼻炎の原因になる真菌はカンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルスなどで、治療は抗真菌薬で行います。
抗真菌薬は抗菌薬よりも肝臓に負担がかかるために、獣医師としても抗菌薬のように安易に処方できません。検査をして、確定診断が出来てからの治療開始となるでしょう。
真菌の怖いところは顔が大きく変形するケースがある所です。
適切な治療までの時間がかかることもあり、その間に感染がすすんで顔面が変形してしまうこともあります。
顔が変形すると、見た目は腫瘍のようなので、全身麻酔でのCT検査などを勧められることもあります。
歯周病による鼻炎
歯の問題が鼻炎になるの?と思われるでしょう。
しかし中高齢の猫で、細菌性の歯周病がある猫では、歯根の炎症が鼻にまで影響することがあるのです。
猫の歯の根っこはかなり深い所まであり、その部分に細菌感染が起きると、細菌性鼻炎のようにドロッとした鼻水が出ます。
また鼻血が出たり、顔が腫れることもあるので、腫瘍性病変と間違われることもあります。
最初は細菌性の鼻炎と診断されて、抗菌薬治療をすると一時的に良化してしまいます。
しかし、歯根の細菌は溜まったままなので、またすぐに腫れや膿のような鼻水が出てくるでしょう。
鼻炎症状のある猫の原因歯を抜歯すると、歯肉からどろっとした膿がでてくることもあります。
抜歯は原因を根本的に治療することが出来るので、症状がしっかりと治まります。
アレルギー性鼻炎
猫にもアレルギー性鼻炎が存在します。
基本的にはサラサラの透明な鼻水が出て、たくさんのクシャミが出ます。
また、鼻だけでなく、目の充血や涙が多いという症状も一緒にでることが多いでしょう。
ただ、単純にアレルギー性鼻炎だけでなく、細菌感染が合併していることが多いようです。
細菌性鼻炎に隠れて、基礎疾患としてアレルギー性鼻炎があるという状況です。
根本がアレルギー性なので、抗菌薬での治療では一過性にしか良化しません。
それでも一時的には良化するので、次々に抗菌薬を使用してしまって、最期には多剤耐性菌になってしまいます。
アレルギーの原因になっているものは、ハウスダストや花粉、食べ物など様々です。
アレルゲンを全て取り除くということは出来ないので、抗アレルギー剤を使用してお付き合いしてく、というのが治療指標でしょう。
アレルギーは体質でもあるので、完治はありません。
悪化しないように見守り、悪化した時には治療法を増やす、というスタンスです。
猫の慢性鼻炎の検査
今、愛猫を鼻炎にしている原因は何なのか知りたい!という方も多いでしょう。
多くはウイルス感染症で、細菌感染を併発していることもあるので、抗生物質とインターフェロンの治療で良化します。
でも、本当にウイルス感染や細菌感染なのでしょうか?
あまりにも何度も繰り返し鼻炎症状が出るのであれば、以下検査をしてみることも有用です。
PCRによる猫の上部気道感染パネル
猫の上気道感染症の原因となるネコヘルペスウイルスやネコカリシウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、ボルデテラ、インフルエンザを一気に遺伝子検出できる検査です。
猫の鼻炎も上部気道にあたるので、この検査1つで病原体がわかります。
この検査の良いところは猫に痛みが少ないところです。
咽頭の奥は苦しくてぬぐえないこともあるので、結膜だけで検体を送付することもあるでしょう。
料金は動物病院によって異なるのですが、だいたいは15,000円~20,000円と高価です。
しかし、これによって無駄な治療をせずに済むことが多くあります。
鼻汁の細菌培養
鼻汁の中にいる病原細菌がどんなものなのか、どんな抗菌薬が効くのかを調べるのが細菌培養です。
本来、抗菌薬の治療の原則としては、病原細菌がどんなものなのか分かってから使用する、というものです。
ですが、最初から細菌培養の検査を行う獣医師は少ないでしょう。
なぜなら、細菌培養の結果が出るまでに数日~7日程度の時間がかかる、ということと初回であれば広域スぺクトラムを持つ抗菌薬を投与すれば、だいたいは良化するからです。
しかし、慢性鼻炎の猫では、長期間におよぶ抗菌薬の投与を経て、多剤耐性菌になっていることが多くあります。
そのため、一度は鼻汁の細菌培養をしておかなければ、全く効果のない抗菌薬をダラダラと投与している可能性があります。
この検査によって、本当に効果のある抗菌薬を知ることができるでしょう。
料金は5,000円~15,000円と幅があるので、かかりつけの獣医師に確認が必要です。
その他検査
簡易的な検査として、鼻汁の塗抹によって細胞や細菌、真菌などを目で確認することもあります。
また、歯が原因でありそうな場合には、全身麻酔下での歯科レントゲンを撮ることもあるでしょう。
鼻炎ではなく腫瘍性が疑われる時には、全身麻酔下でのCT検査などの画像検査をお勧めされることも多くあります。
おわりに
慢性的な鼻炎に悩む猫はとても多いように感じます。
原因としては以下のものが挙げられます。
このうち、子猫に多いのはウイルス感染と細菌感染です。
老猫では鼻炎ではなく歯周病や腫瘍の可能性も出てきます。
治療が成功するかどうかは、しっかりと原因を見つけられるかどうかにかかっています。
そのため、しっかりとした検査を受けるという選択肢を持ちましょう。
これらは検査による猫の負担も少なく、かつ治療の決定には大切な検査となるでしょう。
検査によって、もっとも効果的な治療法がわかり、少しでも猫の鼻炎が良化しますように。
また、飼い猫に関して悩みがある方は、「同じ悩みを抱えている」「同じことを経験した」など、飼い主同士で情報交換が出来るサイト【DOQAT】があります。
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