気温が下がり始める秋は、猫の体調管理がとても大切な時期です。
特に、膀胱炎は秋から冬にかけてかかりやすい病気なので要注意。
人では秋に食欲が増すと言われますが、猫でも同じことが言えますので、肥満には十分に注意しましょう。
この記事では秋に知っておきたい「膀胱炎」「温度管理」「食欲管理」「健康診断」について解説します。
本サイトは、多くの猫を診察している獣医師の先生と、猫を10匹以上飼っている管理人が、それらの知見を基に情報を発信しています。
獣医療現場と、猫と暮らして得られた知識や経験がベースになっていますので、ぜひ参考にしてください。
また、飼い猫に関して悩みがある方は、「同じ悩みを抱えている」「同じことを経験した」など、飼い主同士で情報交換が出来るサイト【DOQAT】があります。
登録無料で実際に経験した人が答えてくれます。
動物を飼っている方は優しい方が多く、親身になって答えてくれますので、経験した生の声を聞きたい方はぜひ登録してみてください。
秋から膀胱炎の季節
膀胱炎は気温が上下する季節に発症しやすいです。
年間を通してみると、梅雨や秋雨の時期には急激に増える傾向があります。
以下の症状が出たら膀胱炎を疑いましょう。
- オシッコに行く回数が多い
- オシッコの量が少ない
- オシッコに血が混じっている
- オシッコの色が濃い
また、膀胱炎が悪化すると尿路閉塞になり、急性腎不全になる可能性があります。
特にオス猫は尿道が狭く詰まりやすいので要注意です。
以下のように膀胱炎が原因で急性腎不全が発症してしまいます。
膀胱炎になると・・・
⇒膀胱内に出血や細胞の残骸が出る
⇒尿道が詰まる
⇒オシッコが出せない
⇒急性腎不全
膀胱炎は尿路閉塞によって命に関わる重症になるので、軽視してはいけません。
猫の膀胱炎の原因は?
一番多い原因が突発性膀胱炎ですが、原因は様々です。
普段の食事、体型、年齢によって原因は変わってきます。
特発性
猫の膀胱炎で一番多い特発性膀胱炎。
原因が不明で、感染や癌もないのに、なぜが膀胱炎になってしまうという困りもの。
性格や、肥満、食餌によってリスクが上がります。
尿路結石
結石が原因で尿道が詰まってしまう尿路結石。
尿中にあるキラキラとした小さな石が尿路結晶で、顕微鏡で見ると判明します。
結晶の種類によって「ストルバイト結晶」「シュウ酸カルシウム結晶」に分けられます。
結晶が大きくなって目で見える石になったものを尿路結石と言い、結晶や結石が膀胱を刺激して膀胱炎が起きます。
細菌性
細菌により膀胱が炎症を起こす細菌性膀胱炎。
猫に細菌性の膀胱炎は稀ですが、高齢期の猫では見かけることが多いです。
気温の低下によって免疫力が低くなってしまうのが原因と考えられます。
腫瘍
季節に関係なく、膀胱に腫瘍が出来てしまう場合もあります。
膀胱に腫瘍ができると血尿が出たり、排尿が困難になってしまいます。
高齢の猫は秋に膀胱炎症状があったとしても、安易に膀胱炎だと判断しないようにしましょう。
秋にするべき猫の膀胱炎対策!
猫は膀胱炎になりやすい生き物なので、しっかりと予防しておくことが大切です。
大切なことは以下の通り。
- 飲水量を増やす
- ストレスをためない
- 温度管理をする
飲水量を増やす
飲水量を増やすのが最も有効な膀胱炎対策といえます。
ですが、猫はあまり水を飲まなくても良いように進化してきているので、飲水量を増やすのは大変です。
しかし、飲水量が少ないとオシッコが濃縮しすぎて膀胱炎が起きています。
以下の対策が有効的です。
- ウェットフードを活用する
- お水のお皿を3-4箇所おく
- ファウンテン(自動給水機)を試す
- お水はトイレとご飯から遠くする
これらを実施すると飲水量は多めになります。
最も効果が高いのがウエットフードの活用です。
ウェットフードを活用する
ウェットフードは水分の含有が多いので、ドライフードより飲水量を増やすことができます。
バリエーションも沢山あります。
- 缶詰
- パウチ
- トレイ
- ペースト
猫の様子を見ながら少しずつウエットフードを追加して、あげ過ぎで下痢にならないように注意しましょう。
ウエットフードは栄養価のバランスが取れていて、主食にしても良い総合栄養食と記載されたものを選びます。
逆に「一般食」と表記されたものは、おやつ程度の栄養価しかないので、食事の代わりとしてあげてはいけません。
おやつは成分をしっかりみて「嗜好品」としてしつけやストレス解消に使用しましょう。
成分が気になるかたは、無添加おやつ「モグリッチ」を分析した記事を参考にしてみてください。
⇒【獣医師監修】猫のおやつ「モグリッチ」を分析、健康に配慮してる?安全?
ストレスを溜めない
猫はストレスで膀胱炎になる生き物です。
完全室内での飼育によりストレスを溜めているのも事実です。
完全室内飼育は猫の健康に必要ですが、室内でもストレスを溜めない生活を提供しましょう。
- 環境エンリッチメントを考える
- かまいすぎない
- 孤独にさせすぎない
実は環境エンリッチメント知らない飼い主さまは多くいます。
アメリカの猫医学会で提唱されている猫の飼育条件は、猫の家族であれば知っておきましょう。
温度管理をする
子猫と高齢の猫は体温調節が上手ではないので、室温を適切に保ちましょう。
特に秋は、昼間は暑くても夜から明け方に気温が大きく下がることがあります。
- 室温目安:25度-28度
- 湿度目安:40-60%
成猫では室温が25度よりも低くても大丈夫ですが、急に20度以下になるのは避けましょう。
朝晩はエアコンで室温の管理をしておくことがお勧めです。
また、室温を管理すると防げるのは膀胱炎だけではありません。
猫の室温管理で予防できる病気
- 猫風邪
- 膀胱炎
- 季節性の胃腸炎
- 持病の悪化
どれも、気温の上下による免疫力の低下が引き金となります。
完全に予防するのは難しいかもしれませんが、軽度で済む可能性があるので、温度管理はしっかりしましょう。
秋は猫が太る季節?体重の管理が大切!
気温が下がると、夏バテで食欲が低下していた猫たちは食欲が増してきます。
夏に低下していた体重が、秋に戻るのであれば問題ありませんが、食欲が多すぎて体重が増えすぎると健康ではありません。
以下の対策を行いましょう。
- 運動量を増やす
- 低カロリーフードにする
- ウェットフードを活用する
運動量を増やす
遊んであげる時間を増やし、運動量を増やしましょう。
時間の増やし方にポイントがあります。
- 15分くらいの遊びを1日に4-5回
- ひとり遊びようのおもちゃを準備
猫は長い時間遊ぶよりも、短い時間を複数回で遊んでもらうほうが好きです。
また、長く遊んでいるうちに興奮して飼い主さんを噛むことがあります。
噛み癖を付けないために、興奮が強くなり過ぎたらそこで遊びは終わりにしましょう。
ひとりで遊ぶようのおもちゃは、転がしてフードが少しずつでてくる知育トイがお勧め。
知育トイは、一人遊びの大切なツールで、暇つぶしと運動量の増加、満足度アップにも最適です。
低カロリーフードやウェットフードにする
低カロリーフードやウエットフードを活用すると満腹感が増えます。
ウエットフードは膀胱炎対策にもなるので一石二鳥ですね。
本格的に減量が必要な猫には、動物病院のダイエット療法食がお勧め!
以下の手順で活用してみましょう。
- 動物病院で体格と体重を確認する
- 体格と活動性、年齢などから療法食を決める
- 動物病院で給餌量を計算してもらう
- 少しづつ療法食を導入する
- 2週間後には療法食だけに切り替える
- 毎月体重を測る
給餌量を決めるのが大切ですが、一日に必要なカロリーの計算が難しいので、獣医師や動物看護師などプロに任せましょう。
秋こそ健康診断
人も年に一度は健康診断を受けますが、それは猫にも必要です。
秋から冬にかけて、通常よりお得に検査できる「健康診断キャンペーン」を行っている動物病院が多くあります。
そして秋は受診時に暑すぎず寒すぎず、健康診断を受けるにはぴったりの季節です。
猫種や体質によっては若齢期から健康診断を始める必要がありますが、高齢期にはいる8歳以上の猫には健康診断が必須と言えます。
健康診断を受けた方が良い猫は以下の通り。
- 高齢の猫
- 持病がある猫
- スコティッシュフォールド
- ノルウェイジャンフォレストキャット
- メインクーン
「スコティッシュフォールド」「ノルウェイジャンフォレストキャット」「メインクーン」はそれぞれ特有の病気を持っており、早期発見と早期の治療介入が大切です。
健康診断に関しては以下の記事を参考にしてください。
健康診断は何から始めるべき?
最初からすべてをフルコースで検査する必要はありません。
検査には猫に負担のかかるものもあるので、体調と性格に合った検査の内容にしましょう。
特に、尿検査と便検査は尿と便を提出するだけなので、猫が病院に行く必要がなく、負担がありません。
尿検査で分かること
- 腎臓がオシッコを濃縮できているか
- 血尿はないか
- 結晶はないか
- 細菌はいないか
- タンパク質は漏れていないか
便検査で分かること
- 寄生虫はいないか
- らせん菌や芽胞菌(がほうきん)はいないか
- 細菌のバランスはよいか
もっともポピュラーな血液検査
猫の健康診断でも血液検査は必須項目であることが多く、分かることが沢山あります。
採血時間は一瞬なので、猫にそこまでの負担はありませんが、怖がり、人見知りの猫にとって、その一瞬の採血時間も辛いこともあります。
しかし、その一瞬の時間さえがんばってもらえれば、以下のことが分かります。
- 貧血はないか
- 白血球の数
- 肝臓や腎臓の値の変化
- 脱水
- 膵臓の炎症
- 電解質のバランス
- 心臓病のマーカー
項目が増えるほど、健康診断の値段も上がるので注意しましょう。
獣医師と相談が必要な検査
猫にやや負担がかかる検査もありますが、血液検査などでは分からない病気を見つけることができます。
必要かどうか獣医師としっかりと相談して決めましょう。
- レントゲン検査
- エコー検査
- 血圧検査
スコティッシュフォールドにお勧めの検査
スコティッシュフォールドは、生まれつきに持っている病気がいくつかあります。
- 関節炎
- 腎臓病
- 心臓病
・関節炎
・腎臓病
・心臓病
このうち、関節炎だけは一歳未満から始まる可能性が高い病気です。
腎臓病や心臓病も持っていることがあるので、スコティッシュフォールドであれば以下の検査を検討しましょう。
- レントゲン検査による関節の撮影
- 血液検査による腎臓病マーカー
- 血液検査による真菌症マーカー
スコティッシュフォールドの詳しい記事はコチラ
⇒お猫様図鑑「スコティッシュフォールド」垂れ耳の猫
ノルウェイジャンフォレストキャットとメインクーンにお勧めの検査
「ノルウェイジャンフォレストキャット」「メインクーン」は心筋症のリスクがあります。
早期発見のために必要な検査を挙げました。
- 血液検査による心筋症マーカー
- 心エコー検査
- レントゲン検査
- 血圧検査
- 心電図検査
心臓の音にも問題なく、発見が難しいのが猫の心筋症です。
何の症状も無かったのに、ある日突然死してしまったり、後ろ足が麻痺します。
最初からすべての検査をする必要はありませんので、まずは血液検査による心筋症マーカーで異常があるかの確認から行いましょう。
また、異常が無くても定期的に続けるようにしましょう。
ノルウェイジャンフォレストキャットの詳しい記事はコチラ
⇒お猫様図鑑「ノルウェージャンフォレストキャット」バイキングに飼われていた猫
メインクーンの詳しい記事はコチラ
⇒お猫様図鑑「メインクーン」世界最大の猫
おわりに
季節の変わり目である秋は、猫にとって体調を崩しやすい時期でもあります。
特に膀胱炎には注意して対策をとりましょう。
猫も秋には食欲が増えるので、体重管理も大切です。
食べたい気持ちを満足させるように、フードや運動に一工夫しましょう。
そして秋は健康診断の季節でもあるので、かかりつけの先生と猫にとって必要な検査をじっくりと相談し、病気を早期発見しましょう。
また、飼い猫に関して悩みがある方は、「同じ悩みを抱えている」「同じことを経験した」など、飼い主同士で情報交換が出来るサイト【DOQAT】があります。
登録無料で実際に経験した人が答えてくれます。
動物を飼っている方は優しい方が多く、親身になって答えてくれますので、経験した生の声を聞きたい方はぜひ登録してみてください。
コメント